アニメって。

なかけん。です。


20年にして改めて思う。
「アニメって、何だろう」って。
今や、趣味というより、生活の中に溶け込んでいる。

今まであまり見たことが無いという層まで見始めるなどアニメの視聴人口が大幅に拡大し、過去の作品が再評価され、メディアミックス手法も増えた。
今や世界中で視聴され愛される日本のサブカルチャーとなり、一昔前と比べたら驚異的に発展しているのではないかと感じるようになった。
まさか、ここまでグローバルに日本のアニメが発展するとは思いも寄らなかった。

ただその一方で、制作現場は昔から体制が変わらない。
日本初の連続テレビアニメで虫プロダクションが制作し1963年に放映された「鉄腕アトム」以降、かの手塚治虫氏が確立してしまったテレビアニメ制作のシステムにより現在の分業化が成立し、ハード面では手描きからデジタルに変わったものの、システム体制は変わっていない。
鉄腕アトム」制作当時、「先生、それでは絵が動きません。アニメーションとは言えません。」と疑問を投げかけるスタッフに対して、手塚治虫氏はこう答えたという。
『皆さん。私たちが作るのはアニメーションではありません。テレビアニメです。いいですか、ア・ニ・メです。』


私は、大学のゼミの番組制作でその虫プロダクションを取材したことがあるが、かねてから制作現場の現状は聞いたことがあるが、取材してからここまで過酷だとは思わなかった。聞いたことがある情報以上に過酷だった。
また、アニメ業界セミナーに参加した時は、給料が低いのは動画マンの話と聞いたが、本当に動画マンだけの話だけではないだろうと感じた。

その瞬間、自分は思った。
「アニメって、ファンと現場との溝が埋まらないものなんだな。でも、ファンである自分はどうすることもできない。アニメ業界に就職するってどういうことなんだろうか…。」

ファンになることと、職に就くことはまるっきり違う。
制作会社であれ、ソフト販売会社であれ、就くフィールドによってバラバラであろう。
趣味に終わらせたくないとはいつも思っているが、本当にアニメ業界を志望していいものなのだろうか。
それいけ!アンパンマン」を視聴していたという1992年から、20年となる2012年。
いよいよ、アニメとは何なのかということを、本気で考えないといけない時がやってきた。


では、自分にとって「アニメ」とは何か。
それは、身近な存在であるということだろうか。

アニメを視聴することによって、アニメの内容や登場人物に勇気や元気づけられたり、登場人物をロールモデルにして普段の行動に活かしたり、登場人物に対して惚れたり萌えたりして擬似的な恋愛感情を抱いたり、日常生活で溜まったストレス解消の素となったりする。
また、場合によっては視聴だけに終わらない。
例えば、テレビ放送やインターネット配信で見たアニメが気に入って、また見たいと思うと同時に自分のモノにしていつでも見られるようにしたいと思った瞬間、映像ソフトを購入する。
また、視聴してから、登場するキャラクターに可愛いや萌えなどといった擬似的な恋愛感情を抱き、そのアニメのファンであると同時にキャラクターが好きであることを周囲にアピールしたいと思った瞬間、衣服やフィギュアを購入する。
他にも、視聴してから熱狂的なファンになり、音楽・映像ソフトや衣服やフィギュアだけでなく、関連グッズも集めたいと思った瞬間、ショップやコミックマーケットでの企業ブースなどでタペストリーや抱き枕カバーなどといった関連グッズを購入する。
このように、付随するメディアミックスやグッズ展開によって、視聴しているだけのアニメがより身近な存在となる。より身近な存在となることによって、ただ単に趣味というより、寧ろ生活の一部と化してしまう。
アニメを本当に身近な存在である思っている人は少なくないだろう。
上記の例以外にも、パチンコやパチスロにも「新世紀エヴァンゲリオン」を契機として参入して、プレイしたユーザーがプレイを契機として作品を視聴し、作品によっては再評価される動きがあったり、その逆に「海物語」や「快盗天使ツインエンジェル」などパチンコが原作となってアニメ化したりするなど、一昔前にはほぼ無縁であったギャンブルの世界にもアニメが入り込んで、本当に身近になったのではないかと感じる。(私はパチンコは全くプレイしたことがないが)

しかし、それはファンに於ける視点である。
ただ、制作者の視点からは全く違うものなのであろうと感じる。
制作者が手がけた作品にファンがつくことはありがたいことだろうと思うが、果たしてファンが製作者に対して還元(?)しているかと言えば、そうではないだろう。

還元しているというのは、私はグッズを購入すると売上が業者に回ると聞いたことがあるので、私は好きな作品のDVDやBlu-rayといった映像ソフトをよく購入しているので、多分購入するとお金が業者に回るだろうと思う。
しかし、果たして視聴者やファンが必ずしも映像ソフトなどといったグッズを購入するかといったら、そうではない。
寧ろ、その割合は少ないだろうと思うし、映像ソフトとなったら尚更だ。
しかも、多分業者にお金が回るといっても、それは大半が映像ソフトメーカーに配分されるものであって、もしかしたらアニメ制作会社に配分される売上は少ないか皆無なのではなかろうか。
そうしたら、ファンが制作者に対して還元しているとは言えるのか…と。


自分の考えは憶測に過ぎないので、取り敢えず「アニメ学」を読破して勉強せねばいけないな。執筆していて、関連書籍を読破して、もっと業界のことを知らなければいけないなと感じた。

そんなことを深く考える今日この頃。
早く将来計画を纏めねば。